相続税路線価・倍率の評価の限界と不動産鑑定評価

相続税路線価などにおいて、申告は財産基本通達による評価によって申告している事案が圧倒的に多いです。税務争訟において、不動産の価額ないし評価額が問題となる代表例として、相続税、贈与税その他所得税、法人税における争訟においても、不動産の価額が争われることがあります。例えば、同族会社間の不動産売買において、その取引価額が適正さを欠いていないか、即ち両者間に経済的利益の供与がないかの判定をめぐってであります。財産基本通達の評価の仕方自体が古く、あちこちでほころびを生じていることも事実です。

今回は財産基本通達のどこに問題があるのか、税理士は納税者に少しでも有利な立場の評価額を算出する必要があります。その点について、財産基本通達のいくつかの問題を指摘し、今後抜本的な改正をしてほしいと思っております。

財産基本通達の時価が「不特定多数の当事者で自由な取引が行われる場合、成立しうる価額」と言いながら、不整形地補正率や共有持分の価格評価、借地権、底地の評価等において実際の時価と、財産基本通達により査定された価格と異なるケースが多く見られます。

不動産鑑定評価の立場から敷地持分権主義の評価が根本的に曲がり角にあることが理解できます。

不動産鑑定評価において不特定多数の人が取得する証券化にあっては収益還元価格が定着しています。

税理士業界も厳しい時代を迎えつつありますが、その中でも相続税の申告は数少ないビジネスチャンスがあると思っています。私は家庭裁判所の調停で遺産分割の仕事を中心にやっておりますが、税理士が申告を受けた場合、相続人間の調整により遺産分割の作成が本来税理士の仕事であるにもかかわらず、弁護士や、司法書士に仕事が奪われているのが現実ではないでしょうか。

私の自説は、「基礎控除を少なくしてより多くの人が相続税を納めていくのが持てるものと持たざる者の格差是正に役立つ」という考え方です。

最近の調停の財産分与の傾向として現金預金、上場株式等の取得が好まれ、不動産そのものは評価額が高く、取得価値が乏しいため取得したくないということが多くなっております。その多くの理由が現在の財産評価基本通達に基づく評価では売れない資産である事が多いからです。

多くの人が相続税を納めていただくことになる相続の時価の問題が大きくクローズアップされています。その場合、土地の評価が特に大きな比重を占めます。

売れる不動産の価格として、現金預金や上場有価証券と同様な評価額に近づいていくことが私の望みですが、その意味で財産基本通達の評価手法を根本的に見直してほしいと思っております。