遺言書の大切さ(H26.6)

遺言書の大切さ(H26.6

 

私は事あるごとに遺言は大切だと話しているのですが、「なぜ大切なのですか?」と素朴な疑問がよく寄せられます。私の経験したAさんとBさんの例で説明します。

【Aさんの事例】Aさん(女性)は夫と二人暮らし、子供がいなくて夫には姉弟がいます。夫は事あるごとに「全財産はお前(妻)のものだ。遺言書ならいつでも書くから」と言っておりました。しかしながら、夫がある日突然心不全で亡くなってしまいました。民法上の相続分は妻3/4、他の兄弟姉妹は1/4であります。葬式後、夫の姉弟から「兄さんの遺言書はあるのか?」と連絡がありました。「ない」と答えると、即座に「1/4の財産をよこせ」と言ってきました。結局、Aさんは遺言書があれば全財産が相続できたにもかかわらず、一部を姉弟に渡さざるを得なくなりました。

【Bさんの事例】Bさんには叔母(女性・独身)がいます。叔母はかなりの財産を持っており、亡き姉の甥であるBさんを大変可愛がっていました。叔母には兄がいますがほとんど行き来のない状態でした。Bさんが私のところに相談にみえたので、私はすぐに「遺言書を作っておくように」と、アドバイスをしました。それから1年半後、叔母がガンで亡くなったので相続税の申告をしてほしいと依頼に来られました。驚いたことにBさんは私の助言をすぐに聞き、遺言書を作っておりました。相続財産はかなりのものでしたが、Bさんは遺言書通り、叔母の財産を全部相続しました。その後、叔母の兄から遺言書の有無の問い合わせがありました。私は「残念ながら遺言書がありました」とお答えしました。叔母の兄は遺留分の減殺請求を起こす旨を言ってきました。遺留分は妻子にはあります。しかしながら、兄には民法上遺留分は無いのです。お兄さんの落胆ぶりは電話口からはっきりとわかりました。

以上、遺言書の対応によって大きく差が出ました。家庭裁判所調停においても、遺言書があれば争いの70%は解決でき、後の30%は遺留分の争いになります。ぜひ遺言書は作っておきましょう。