非上場株式の評価
裁判上の非公開株式の鑑定をいくつか鑑定した経験から言わせてもらえば、上場株式は取引の相場が明確でありますが、非公開株式(非上場株式)には絶対的な鑑定方法は存在しないのが実情です。「被鑑定会社の鑑定目的によって評価方法が変わる」というのが原則です。
鑑定評価方式
- 純資産方式
- 比準方式
- 収益方式
- 配当還元方式
裁判所の価格決定で重要な点は、専門家としての意見を述べることであるため、次の点が重要です。
- 被鑑定会社の状況を十分に調査すること。(決算書は最低3期分が必要)
- 鑑定評価方式の「純資産方式」においては、不動産がある場合、鑑定評価書に基づいて時価評価によること。
- 収益方式は、一般的にはDCF法(Discounted Cash-Flow Method)といわれるものであり、将来の予想される年度別の現金の入出金すなわちキャッシュフローを予想してそれを還元し株価を算出する方法です。
収益方式 =将来の予想ディスカウンテッドキャッシュフローの合計 ÷ 発行済株式総数
裁判所による売買価格決定
価格決定に関する明確な基準がないのが実情です。会計理論上の株価算定される金額をベースとして、案件の実情に応じて決定されます。
会計理論上の株価算定方法には、主に時価純資産方式、収益還元方式、DCF方式、配当還元方式、比準方式(類似業種比準方式、類似会社比準方式、取引事例比較法)などがありますが、主に経営権を譲渡する場合、その会社はどれくらいの収益性があるのかが大きなウェイトを占めます。
株価鑑定における鑑定人の役割は専門家としての意見を述べることで、最終的な株価は裁判官が決定します。株価の算定において、次のことが重要です。
- 鑑定人は被鑑定会社を十分調査し時価純資産、収益還元法などのいずれの方式を重視するか。
- 一つの方式のみで決定するのではなく、各方式全部で株価を算出し、総合的に検討すること。
- 鑑定人としての立場から、一株あたりの株価を決めること。
以上の検討を加え、最終的には裁判官が決定するため、鑑定人が算出した株価と違う場合があります。
精度の高い株価の算出
当事務所は、不動産が数多くある場合、不動産鑑定の知識を活かし、時価純資産、収益還元方式においては精度の高い株価の算出ができます。